━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
☆★☆ AMED RIOネットワークメールマガジン
★☆ 2021年09月08日号
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
こんにちは。
AMEDのRIOネットワークに関する情報をお届けするメールマガジン
「AMED RIOネットワークメールマガジン」です。
どうぞよろしくお願いいたします。
//
☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「研究公正に関するヒヤリ・ハット集」のコラムのご紹介(その3)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
前回に引き続き、「研究公正に関するヒヤリ・ハット集」のコラムを紹介します。
//
☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
コラム「倫理意識の成長過程」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
心理学者のKohlbergは人の倫理意識の形成過程を3つの段階に分けて考察して
います(参考文献1, 2)。褒められるか罰せられるかで善悪を判断し、
損得で行動を選択する前慣習レベル、他人に良いと認められる行為を善とする
慣習レベル、自己の良心に沿った行為を善とする脱慣習レベルの3つです。
☆前慣習レベル(処罰・褒美)
・罰せられるからしない
・損得だけで行動を決める
・利益と順守を天秤にかける
(ルール、法律、条例、規約)
☆慣習レベル(仲間・組織)
・ルールや権威者のことばに従う
・周囲・組織に迷惑をかけない
・組織防衛のため隠蔽することも
(公序良俗、倫理要綱)
☆脱慣習レベル(人類・社会・地球環境)
・ルールの背景を理解し判断できる
・自己の良心に基づいて判断できる
・ルールを提案できる
(思いやり、誇り、プロフェッショナリズム)
罰せられるからしない、ルールより利益を優先する、という考え方は、
幼児と同じ前慣習レベルの倫理意識でしかありません。ルールや法律は、
実はこのレベルに対応するものなのです。
人は成長に伴って周囲や組織に配慮するようになり、ルールや多数決に従い、
公序良俗を理解する慣習レベルの倫理意識をもつようになりますが、
科学者にとってはまだ十分ではありません。科学者は知や利便の創造にともなう
問題を予測し、それを防ぐ新たなルールを提案できなければなりません。
そのためには、既存のルールや権威者のことばの背景を理解した上で、自己の
良心に照らして判断できる脱慣習レベルの倫理意識が必要になります。
研究不正が損か得かで判断する前慣習レベルでしかないことに気づけば、
8月25日のメールマガジン「研究不正のトライアングル」で紹介した、
不正を正当化しようとする言い訳のほとんどが成立しないことにも気づけるはずです。
参考文献
1.ローレンス・コールバーグ(岩佐信道訳): 道徳性の発達と道徳教育,pp171-173,
麗澤大学出版会 (1987)
2.片倉啓雄: 工学における安全と倫理, 工学教育, 63巻5号, 13-17 (2015)
(関西大学教授 片倉啓雄)
https://www.amed.go.jp/kenkyu_kousei/kiyouzai_hiyarihatto.html
本コラムは「研究公正に関するヒヤリ・ハット集」
7.研究データの信頼性、再現性等の章65ページに掲載されています。
────────────────────────────────────
RIOネットワークメルマガの中止はこちらをクリックしてお手続きください。
https://krs.bz/amed/m/unsubscription?m=4707&t=9pq7&v=97da2bd6
RIOネットワークメルマガや、他に購読しているAMEDのメルマガに
ついての変更はこちら
https://krs.bz/amed/m?f=20&m=4707&t=9pq7&v=cee8e99c
※メルマガの配信中止、種類変更のURLの有効期間は7日間です。
クリック数調査のため、各リンクはhttps://krs.bz/amed/を含む
URLとなっております。あらかじめご了承ください。
────────────────────────────────────
【編集・発行】国立研究開発法人 日本医療研究開発機構
研究公正・業務推進部 RIOネットワーク担当
【発 行 日】2021年09月08日
【お問い合わせ】rionetwork@amed.go.jp
【ホームページ】https://www.amed.go.jp/kenkyu_kousei/rionetwork.html
───────────────────────────────────