福井大学医学部附属病院 医学研究支援センター

研究者の方へ

用語集 – た行

第I相試験

だいいっそうしけん Phase I Trial

  • 研究新薬の初めてのヒトへの導入を果たす臨床試験のこと。第I相試験は、生理学的因子、毒性、適切な用量を検証する。第I相試験では、大抵の場合、少数の患者のみを組み入れる。【ICR】

胎芽

たいが Embryo

  • 【同義語】
  • 受精あるいは着床から妊娠のおよそ第8週齢まで(妊娠初期段階)の発育中の生命体のこと。【ICR】

第III相試験

だいさんそうしけん Phase III Trial

  • 第III相試験では、安全性、有効性、適切な用量を見つけ出すために、より多くの数の患者に対して異なる臨床条件で新薬の投与を行う。第III相試験は、大抵の場合、多数の患者を組み入れて、全国にわたって多くの医院、診療所、センターで実施される。【ICR】

胎児

たいじ Fetus

  • 妊娠第8週齢の終わりから出生ないし娩出までの受胎産物のこと。【ICR】

対照薬

たいしょうやく Comparator (Product)

  • 治験において比較の対照として用いられる治験薬、市販薬(すなわち実対照薬又はプラセボ)。【ICH-E6】

代替変数

だいたいへんすう Surrogate Variable

  • 臨床的効果を直接測定することが実際的でない場合に、効果の間接的な測定値を示す変数。【ICH-E9】

代諾者

だいだくしゃ Legally Authorized Representative

  • 【同義語】法的代理人
  • 代諾者(法的代理人:法的に権限を有する代理人)。
    被験者候補に代わり、本人の利益になるように、研究で行われる処置への本人の参加について同意する権限を適用法令の下で与えられた個人ないし裁判機関やその他の組織のこと。【ICR】
  • 生存する研究対象者の意思及び利益を代弁できると考えられる者であって、当該研究対象者がインフォームド・コンセントを与える能力を欠くと客観的に判断される場合に、当該研究対象者の代わりに、研究者等又は既存試料・情報の提供を行う者に対してインフォームド・コンセントを与えることができる者をいう。【新指針】

代諾者等

だいだくしゃとう Legally Acceptable Representative, etc.

  • 代諾者に加えて、研究対象者が死者である場合にインフォームド・コンセントを与えることができる者を含めたものをいう。【新指針】

第II相試験

だいにそうしけん Phase II Trial

  • 第II相試験は、対照(臨床)試験のことで、患者の特定の適応症ないし研究対象の健康状態に対する薬物の有効性の評価するためと、この薬物に関係する共通の短期的な副作用とリスクを見つけ出すために、実施される。これらの試験は、概して行き届いた管理と厳重な監視の下、通例数百人に満たない比較的少人数の患者で実施される。【ICR】

多施設共同治験

たしせつきょうどうちけん Multicenter Trial

  • 単一の治験実施計画書に基づいて、二つ以上の施設で、したがって二人以上の治験責任医師によって実施される臨床試験。【ICH-E9】
  • 単一の治験実施計画書に従い、複数の施設で、従って複数の治験責任医師によって実施される治験。【ICH-E6】

脱落

だつらく Dropout

  • 治験実施計画書が要求する最終観察以前に、何らかの理由で臨床試験の継続ができない被験者。【ICH-E9】

ダブルダミー

だぶるだみー Double-Dummy

  • 臨床試験で二つの試験治療の区別がつく場合に、医薬品投与時の盲検を維持する技法。試験治療Aについて、実際の製剤と共にそれと区別不能なプラセボを用意し、また試験治療Bについても、実際の製剤と共にそれと区別不能なプラセボを用意する。被験者は二組の試験治療(一つはAの実際の製剤とBのプラセボ、もう一つはAのプラセボとBの実際の製剤)のどちらかを受ける。【ICH-E9】

治験依頼者

ちけんいらいしゃ Sponsor

  • 治験の発案、運営及び(又は)資金に責任を負う個人、会社、研究機関又は団体。【ICH-E6】

治験依頼者兼治験責任医師

ちけんいらいしゃけんちけんせきにんいし Sponsor-Investigator

  • 単独又は他者と共同で治験を発案、実施する医師又は歯科医師で、その直接の指示のもとに治験薬が被験者に投与、処方又は使用される場合を言う。この用語は個人以外(例えば,法人又は機関)を含まない。治験依頼者兼治験責任医師の義務には、治験依頼者としての義務と治験責任医師としての義務の双方が含まれる。【ICH-E6】

治験実施医療機関

ちけんじっしいりょうきかん Institution (medical)

  • 治験が実施される、公的又は私的な医学又は歯学関係の施設。【ICH-E6】

治験実施計画書

ちけんじっしけいかくしょ Protocol

  • 治験の目的、デザイン、方法、統計学的な考察及び組織について記述した文書。治験実施計画書には通常、治験の背景及び根拠が記述されるが、これは、治験実施計画書に引用されている他の文書に記述することもできる。本ガイドラインでは、「治験実施計画書」は「治験実施計画書」及び「治験実施計画書の改訂」を意味する。【ICH-E6】

治験実施計画書に適合した対象集団(妥当例、有効性サンプル、評価可能被験者サンプル)

ちけんじっしけいかくしょにてきごうしたたいしょうしゅうだん Per Protocol Set (Valid Cases, Efficacy Sample, Evaluable Subjects Sample)

  • データの集合であり、そのデータは基礎となる科学的モデルに従い試験治療の効果をよく示すと十分考えられる程度に治験実施計画書を遵守した部分集団から得られる。遵守には、試験治療への曝露、測定値の利用可能性及び大きな治験実施計画書違反がないことが含まれる。【ICH-E9】

治験実施計画書の改訂

ちけんじっしけいかくしょのかいてい Protocol Amendment

  • 治験実施計画書に加えられた変更で、文書化又は公式に明示されたもの。【ICH-E6】

治験実施施設

ちけんじっししせつ Trial Site

  • 治験に係わる業務が実際に行われる場所。【ICH-E6】

治験責任医師

ちけんせきにんいし Investigator

  • 治験実施施設において治験の実施に関して責任を有する医師又は歯科医師。治験実施施設において、治験が複数の者から成るチームにより実施される場合には、治験責任医師は当該チームの責任者たるリーダーであり、首席治験医師 (principal investi-gator)と呼ばれることがある。『治験補助医師 (Subinvestigator)』を参照。【ICH-E6】

治験調整委員会

ちけんちょうせいいいんかい Coordinating Committee

  • 多施設共同治験の実施を調整するために、治験依頼者が設置することのできる委員会。【ICH-E6】

治験調整医師

ちけんちょうせいいし Coordinating Investigator

  • 多施設共同治験において、参加各治験実施医療機関の治験責任医師を調整する責任を担う医師。【ICH-E6】

治験の総括報告書

ちけんのそうかつほうこくしょ Clinical Trial/Study Report

  • 治療薬、予防薬又は診断薬の治験について記述した文書で、臨床的・統計学的な記述、説明及び解析を一つの報告書に網羅してまとめたもの。(ICHガイドライン「治験の総括報告書の構成と内容に関するガイドライン」を参照)【ICH-E6】

治験の中間報告書

ちけんのちゅうかんほうこくしょ Interim Clinical Trial/Study Report

  • 治験の進行中に行われる解析に基づく中間的な治験成績とその評価に関する報告書。【ICH-E6】

治験の品質管理

ちけんのひんしつかんり Quality Control (QC)

  • 治験関連の活動の質に求められる要件を充足していることを検証するために、治験の品質保証システム(Quality Assurance System)の一環として行われる実務的な手法及び活動。【ICH-E6】

治験の品質保証

ちけんのひんしつほしょう Quality Assurance (QA)

  • 治験の実施、データ作成、文書化(記録化)及び報告が、GCP及び適用される規制要件を遵守していることを保証するために設定された、計画的かつ体系的な全活動。【ICH-E6】

治験補助医師

ちけんほじょいし Subinvestigator

  • 治験実施チームの個々のメンバーで、治験責任医師によって指名・監督され、治験実施施設で、治験に係わる重要な業務及び(又は)重要な決定を行う者(例えば助手、研修医等)。『治験責任医師(Investigator)』を参照。【ICH-E6】

治験薬

ちけんやく Investigational Product

  • 治験において被験薬又は対照薬として用いられる有効成分を含む製剤又はプラセボ。既承認医薬品であっても、承認されていない(製剤組成上又は包装上の)方法で使用し又は組み合わせる場合、承認されていない適応症に用いる場合或いは承認された用途についてさらに情報を収集する目的で用いる場合には、既承認医薬品も治験薬に含まれる。【ICH-E6】

(治験責任医師用)治験薬概要書

ちけんやくがいようしょ Investigator’s Brochure

  • 治験の実施に必要な、治験薬についての臨床及び非臨床データを編集したもの(第7章参照)。【ICH-E6】

中間解析

ちゅうかんかいせき Interim Analysis

  • 試験の正式な完了以前に、有効性又は安全性に関して試験治療群間を比較することを意図して行われるあらゆる解析。【ICH-E9】

直接閲覧

ちょくせつえつらん Direct Access

  • 治験の評価に重要な記録や報告を検証、分析、確認し、複写することを許諾すること。直接閲覧を行ういかなる者(例えば国内外の規制当局並びに治験依頼者のモニター及び監査担当者)は、被験者の身元及び治験依頼者に帰属する情報に関する秘密の保全を図るため、適用される規制要件に従って、あらゆる妥当な予防措置を講ずる。【ICH-E6】

データ

でーた Data

  • 多角的な事実(必ずしもそうではないが、大抵の場合、実証的な事実)のことで、推論、実験、分析などの根拠として用いられる、もしくは、意思決定の根拠として用いられるもののこと。【ICR】

データ安全性モニタリング委員会

でーたあんぜんせいもにたりんぐいいんかい Data and Safety Monitoring Board

  • 有害事象やその他の傾向(例えば、一方の療法が他方より有意に優れているという兆候、これは試験の変更や終了ないし、被験者の試験への参加継続の意思に影響を与える可能性のある新しい情報(新たな知見)の被験者への告知の正当な理由となるもの)を監視するために、臨床試験が実施される過程で、データを収集し分析する独立した委員会のこと。データ安全性モニタリング委員会(DSMB)は、米国 国立衛生研究所(NIH)が全ての第III相試験に対して設置を義務付けているが、複数の臨床研究実施施設で実施される試験、盲検試験、高いリスクを伴う介入(診療行為)を採用する場合、もしくは社会的弱者を対象とする試験の場合は、第I相試験、第II相試験についても同委員会(DSMB)の設置が適切とされることがある。【ICR】

データ及び安全性のモニタリング計画

でーたおよびあんぜんせいのもにたりんぐけいかく Data and Safety Monitoring Plan

  • 臨床研究試験のデータと安全性のモニタリングの全般的な説明を付した計画のこと。計画は研究者が作成し、プロトコール(研究実施計画書)に含められ、試験開始に先立って、倫理審査委員会(IRB)の審査および承認を受けるために提出される。適切な計画には、規模や複雑性などの観点を含め、試験に係るリスクが反映されている。【ICR】

適用される規制要件

てきようされるきせいようけん Applicable Regulatory Requirement(s)

  • 治験の実施に係わる全ての法規を含む規制。【ICH-E6】

統計解析計画書

とうけいかいせきけいかくしょ Statistical Analysis Plan

  • 統計解析計画書とは、治験実施計画書に記されている解析の主要な特徴のより技術的な詳細を述べた文書であり、主要変数、副次変数、その他のデータに関する統計解析を実行するための詳細な手順を含むものである。【ICH-E9】

同等性試験

どうとうせいしけん Equivalence Trial

  • 二つ以上の試験治療に対する反応が、臨床的に重要な意味を持つほど異ならないことを示すことが主要な目的の試験。このことは、通常臨床的に許容できる差である上側同等限界と下側同等限界の間に、試験治療間の真の差が存在する可能性が高いことを示すことにより証明される。【ICH-E9】

毒性

どくせい Toxicity

  • 毒ないし人体に害を及ぼすものに関係があること。毒性物質は、通常、臓器系統と療法によって現れた被験者の状態の両方またはいずれか一方に、好ましくない副作用を引き起こす。毒性は、全く毒性がないものを最低としグレード0(第0級)、致死毒性を最高としグレード5(第5級)として、数値的に等級分けされている。【ICR】

匿名化

とくめいか Anonymization

  • 特定の個人(死者を含む。以下同じ。)を識別することができることとなる記述等の全部又は一部を取り除き、代わりに当該個人と関わりのない符号又は番号を付すことをいう。なお、個人に関する情報のうち、それ自体では特定の個人を識別することができないものであっても、他で入手できる情報と照合することにより特定の個人を識別することができる場合には、照合に必要な情報の全部又は一部を取り除いて、特定の個人を識別することができないようにすることを含むものとする。【新指針】

独立データモニタリング委員会/効果安全性評価委員会(データ及び安全性モニタリング委員会、モニタリング委員会、データモニタリング委員会)

どくりつでーたもにたりんぐいいんかい/こうかあんぜんせいひょうかいいんかい  ndependent Data Monitoring Committee (IDMC) (Data and Safety Monitoring Board, Monitoring Committee, Data Monitoring Committee)

  • 臨床試験の進行状況、安全性データ及び重要な有効性評価項目を何回かにわたって評価するとともに、治験依頼者に試験の継続、修正、又は中止を勧告するために、治験依頼者が必要に応じて設立する委員会。【ICH-E9】
  • 治験の進行、安全性データ及び重要な有効性エンドポイントを適当な間隔で評価し、治験依頼者に治験の継続、変更、又は中止を提言することを目的として、治験依頼者が設置することができる独立したデータモニタリング委員会。【ICH-E6】

独立倫理委員会

どくりつりんりいいんかい Independent Ethics Commitee(IEC)

  • 医学・科学の専門家及び医学・科学の非専門家によって構成される独立の(医療機関内、地域的、国単位又は複数国にまたがる)委員会。当委員会の責務は被験者の人権、安全及び福祉の保護を保証することであり、特に治験実施計画書、治験責任医師の適格性、施設、並びに被験者から文書によるインフォームド・コンセントを得るのに使用される方法及び 資料を審査し、承認することによって、かかる保護に公の保証を与えることである。 独立倫理委員会の法的地位、構成、機能、運営及び規制上の要件は、国によって異なる場合もあるが、独立倫理委員会が本ガイドラインに規定するGCPに従って活動できることを保証するものでなければならない。【ICH-E6】

 

 

【出典】

(注)上記の出典毎に、同じ用語でも定義が若干異なる場合があります。詳細は出典先を参照してください。