福井大学医学部附属病院 医学研究支援センター

研究者の方へ

用語集 – さ行

最小リスク

さいしょうりすく Minimal Risk

  • 【同義語】ミニマル・リスク
  • 健康な人が、日常生活において、もしくは定期的な健康診断や歯科検診、心理検査の実施上で、通常遭遇するような危害(harm=生命や身体に及ぼす害)や苦痛(不快感)の発生しうる可能性とその規模のこと。【ICR】

最大の解析対象集団

さいだいのかいせきたいしょうしゅうだん Full Analysis Set

  • Intention-to-treat の原則に可能な限り近づけた被験者集団。最大の解析対象集団は、ランダム化が行われた全被験者から、除くべき理由のある最低限の被験者を除外した集団である。【ICH-E9】

査察

ささつ Inspection

  • 治験実施施設、治験依頼者及び開発業務受託機関(CRO)の施設又はその他の規制当局が適切とみなした施設に存在し、当局が治験に関係すると判断した文書、設備、記録及びその他の資料等について、規制当局が行う公式の検証。【ICH-E6】

賛意

さんい Assent

  • 【同義語】アセント
  • 研究に参加するための法的に有効なインフォームド・コンセントを行う能力を有さない個人(例:小児、認知障害の状態にある者)によってなされる同意のこと。【ICR】

試験治療下での発現

しけんちりょうかでのはつげん Treatment Emergent

  • 試験治療前には存在しておらず試験治療期間に出現した事象、又は試験治療前の状態に比べて悪化した事象。【ICH-E9】

試験治療の効果

しけんちりょうのこうか Treatment Effect

  • 臨床試験における試験治療の効果。ほとんどの臨床試験では、関心のある試験治療の効果は、二つ以上の試験治療間の比較(又は対比)である。【ICH-E9】

試験統計家

しけんとうけいか Trial Statistician

  • 本ガイドライン中の原則を実行するために、十分な理論又は実地の教育及び経験を併せ持ち、かつ当該試験の統計的側面に責任を持つ統計家。【ICH-E9】

施設

しせつ Institution

  • あらゆる公共あるいは民間の団体ないし関係機関(米国 連邦政府機関、国家機関、その他の機関を含む)で、研究の実施場所のこと。【ICR】

自発性

じはつせい Voluntary

  • 【同義語】自由意思による
  • 強制、強要、不適切な誘因のない状態。研究活動への参加(ないし参加の継続)に対する被験者の意思決定を言及する研究の背景の意味で用いられる。【ICR】

社会的弱者

しゃかいてきじゃくしゃ Vulnerable Participants, Vulnerable Population

  • 社会的弱者/集団。
  • 障害、病気、年齢、その他の(社会的な)状態を理由に、本人の自律性の減弱を呈する被験者個人ないし被験者集団のこと。米国 連邦規則もベルモント・レポートを含む倫理規定も、研究被験者として社会的弱者を対象に含めることを禁止していない。しかし、保健福祉省(HHS)の規則では、胎児、妊婦、ヒト体外受精卵(連邦規則集45 CFR Part 46 B項)、囚人(連邦規則集45 CFR Part 46 C項)、小児(連邦規則集45 CFR Part 46 D項)を対象とする研究に対し、特別な正当性を義務付けている。【ICR】
  • 参加に伴う利益又は参加拒否による上位者の報復を予想することにより、治験への自発的参加の意思が不当に影響を受ける可能性のある個人。例えば、階層構造を有するグループの構成員としての医・歯学生、薬学生、看護学生、病院及び検査機関の下位の職員、製薬企業従業員並びに被拘禁者等がある。その他の例として、不治の病に罹患している患者、養護施設収容者、失業者又は貧困者、緊急状態にある患者、少数民族集団、ホームレス、放浪者、難民、未成年及び治験参加の同意を表明する能力のない者があげられる。これらの者を被験者とする場合には、特に慎重な配慮を払うこと。【ICH-E6】(第44条)

自由意思による

じゆういしによる Voluntary

  • 【同義語】自発性
  • 強制、強要、不適切な誘因のない状態。研究活動への参加(ないし参加の継続)に対する被験者の意思決定を言及する研究の背景の意味で用いられる。【ICR】

囚人

しゅうじん Prisoner

  • 刑務所に非自発的に収容、または抑留されている個人のこと。これには、次のような人々が含まれる。刑法や民法の下でそのような収容施設での懲役刑判決を受けている人々。法規、または刑事訴追や刑務所での受刑の代替となる勾留手続きによって、その他の施設に拘置されている個人。そして、罪状認否や、裁判、判決の間、拘禁されている個人。【ICR】

重篤な有害事象又は重篤な副作用

じゅうとくなゆうがいじしょうまたはじゅうとくなふくさよう Serious Adverse Event (SAE) or Serious Adverse Drug Reaction(Serious ADR)

  • 投与量にかかわらず、医薬品(治験薬を含む)が投与された際に生じたあらゆる好ましくない医療上のできごとのうち、以下のものを言う。
    ─死亡に至るもの
    ─生命を脅かすもの
    ─治療のため入院又は入院加療期間の延長が必要なもの
    ─永続的又は重大な障害/機能不能に陥るもの
    ─先天異常を来すもの
    (ICHガイドライン「治験中に得られる安全性情報の取り扱いについて」を参照)【ICH-E6】
  • 有害事象のうち、次に掲げるいずれかに該当するものをいう。
    1. 死に至るもの
    2. 生命を脅かすもの
    3. 治療のための入院又は入院期間の延長が必要となるもの
    4. 永続的又は顕著な障害・機能不全に陥るもの
    5. 子孫に先天異常を来すもの【新指針】

遵守 (治験に関する)

じゅんしゅ Compliance (in relation to trials)

  • GCP及び適用される規制要件等、治験に係わる全ての要件を守ること。【ICH-E6】

証拠資料

しょうこしりょう Documentation

  • 治験の方法、実施及び(又は)結果並びに治験の結果に影響を及ぼした要因及び講じられた措置等に関して記述又は記録したあらゆる方式の全ての記録類。(筆記された記録、電子的・磁気的・光学的記録、走査図、X線写真及び心電図等が含まれるが、これらに限らない)。【ICH-E6】

省庁・関係機関の長

しょうちょう・かんけいきかんのちょう Department or Agency Head

  • 連邦政府省庁・関係機関の長、および権限を委ねられた省庁・関係機関の役員または従業員のこと。【ICR】

小児 しょうに

Child or Children

  • 【同義語】子供
  • 研究が実施される地域を管轄する適用法令の下で、研究において施される治療や処置について同意できる法的年齢に達していない人々。研究への小児の参加は、特別規則や保護措置によって規制されている。【ICR】

承認(治験審査委員会の)

しょうにん Approval (in relation to Institutional Review Boards)

  • 治験が、治験審査委員会及び治験実施医療機関の定める規則並びにGCP及び適用される規制要件に従って審査され、治験が当該医療機関で実施されることを治験審査委員会が了承する旨を決定すること。【ICH-E6】

証明書

しょうめいしょ Certification

  • 米国 連邦規則集45 CFR 46に定める要件に従い、ヒトを対象とする研究プロジェクトや活動が、承認保証に合致して、倫理審査委員会(IRB)による審査及び承認を受けたことを、研究機関が研究を助成する省庁や関係機関へ向けて知らせる正式な通知のこと。【ICR】

症例報告書

しょうれいほうこくしょ Case Report Form (CRF)

  • 各被験者に関して、治験依頼者に報告することが治験実施計画書において規定されている全ての情報を記録するための、印刷された又は光学的若しくは電子的な記録様式(記録されたものを含む)。【ICH-E6】

除外規準

じょがいきじゅん Exclusion Criteria

  • 既往歴の要素をまとめたリストのことで、個人の特定の臨床試験への参加を未然に防ぐことになるもの。【ICR】

食品医薬品局

しょくひんいやくひんきょく Food and Drug Administration

  • (米国)食品医薬品局。
  • 米国 保健福祉省(HHS)の一部局で、連邦食品・医薬品・化粧品法と関連する連邦公衆衛生法の下に規制される商品の製造、輸入、輸送、保管、販売の監視を行っている。【ICR】

自律性

じりつせい Autonomy

  • 自らで他の選択肢について考え、自己の選択を決定し、不当な圧力や他人からの干渉を受けることなく行動することができる個人の能力のこと。【ICR】

試料・情報

しりょう・じょうほう Specimen and/or Information

  • 人体から取得された試料及び研究に用いられる情報をいう。【新指針】

試料・情報の収集・分譲を行う機関

しりょう・じょうほうのしゅうしゅう・ぶんじょうをおこなうきかん Organization Collecting and Providing Specimens or Information

  • 研究機関のうち、試料・情報を研究対象者から取得し、又は他の機関から提供を受けて保管し、反復継続して他の研究機関に提供を行う業務を実施する機関をいう。【新指針】

人格の尊重

じんかくのそんちょう Respect for Persons

  • ベルモント・レポートに記載されている倫理原則の一つで、個人の自律性(自らで考え決断し行動すること、その能力)が尊重されること、ならびに自律性が減弱した状態にある個人が保護を受けることを求めるもの。【ICR】

侵襲

しんしゅう Invasiveness

  • 研究目的で行われる、穿刺、切開、薬物投与、放射線照射、心的外傷に触れる質問等によって、研究対象者の身体又は精神に傷害又は負担が生じることをいう。侵襲のうち、研究対象者の身体及び精神に生じる傷害及び負担が小さいものを「軽微な侵襲」という。【新指針】

迅速審査

じんそくしんさ Expedited Review

  • 倫理審査委員会(IRB)全体ではなく、同委員会(IRB)委員長ないし、投票権を有する委員で指名を受けた者(被指名者)、あるいは投票権を有する委員のグループが、提議された研究の審査を行うこと。【ICR】

人体から取得された試料

じんたいからしゅとくされたしりょう Human Biological Specimen

  • 血液、体液、組織、細胞、排泄物及びこれらから抽出したDNA等、人の体の一部であって研究に用いられるもの(死者に係るものを含む。)をいう。【新指針】

スポンサー

すぽんさー Sponsor

  • 研究試験に着手し資金を提供する個人、法人、施設ないし組織のこと。スポンサーは、必ずしも研究を実施する団体とは限らない。【ICR】

正義

せいぎ Justice

  • ベルモント・レポートに記載されている倫理原則の一つで、負担やベネフィットの分配における公平性を求めるもので、多くの場合に似たような状況や特性の人々を同様に取り扱うという意味において言い表されるもの。【ICR】

世界人権宣言

せかいじんけんせんげん Universal Declaration of Human Rights

  • すべての人間の特定の権利と自由に関する国家間の包括的協定として初めて、国際連合(国連)によって1948年に採択された国際的宣言のこと。【ICR】

善行

ぜんこう Beneficence

  • ベルモント・レポートに記載されている倫理原則の一つで、人々を危害から守る社会的責任(義務)を課すもの。善行の原則は、二つの総則で表現することが出来る。(1) 危害(harm)を与えない、(2) 期待されるベネフィットを最大化し、危害の潜在リスクを最小化することで、危害から保護する。【ICR】

選択規準

せんたくきじゅん Inclusion Criteria

  • 個人の特定の臨床試験への参加を許可するために必要な既往歴の要素をまとめたリストのこと。【ICR】

相 そう

Phases of a Clinical Drug Trial

  • 【同義語】臨床薬物試験の相
  • ヒトを対象として薬物の検証をする試験段階のことで、初めてヒトに使用する第I相試験から、限定的な第II相試験、広範な第III相試験、そして市販後に行う第IV相試験までがある。【ICR】

総合評価変数

そうごうひょうかへんすう Global Assessment Variable

  • 被験者の疾患の状態又は疾患の状態の変化についての客観的変数と治験責任(分担)医師の全体的な印象を統合した、通常、順序カテゴリの評価尺度である単一の変数。【ICH-E9】

 

 

【出典】

(注)上記の出典毎に、同じ用語でも定義が若干異なる場合があります。詳細は出典先を参照してください。